日々是流流

“細工は流流仕上げを御覧じろ”~より善く生きるためのその時々の記録です。

お能に出会って、新たな学びの旅が始まる♪

私にとって、学びは生きることそのものなので、おばあちゃんになっても常に何か新しいことを学び続けようと思っています。そして、新しい何かを学ぶことは、私にとっては「旅」のようなもの。最近あまり実際の旅に出なくなったのは、それこそ大きな学びに出会っているからです。
 
昨年は、写真、映像表現や映画、脚本などを学んでいたのですが、パラレルにいろいろ詰め込み過ぎて途中で息切れし、ドロップアウトしてしまいました。
 
今年に入ってからは、日本文学、日本の歴史、地政学、経済学などを当初学んでいました。
GW前に、以前からお世話になっている弁護士の森田さんの影響で、そこからさらに学びが展開していきました。
 
一番大きい出会いは「初期仏教」
これは本当に、今ちゃんと出会ってよかったと思うほど、生き方のOSを入れかえるような出会いになりました。過去に、禅寺での修行や四国や秩父の歩き遍路に出かけたこともありましたが、当時、仏教のことほとんどわかってなかったんですよね。今思うと恥ずかしい限りです。
初期仏教に関しては、これはもう書きたいことが多すぎてとても書き切れないので、またいつか。
 
そして、次に大きかったのが当事者研究
浦河のべてるの家には去年と今年、二度見学に行きましたが、べてるの家が数十年かけて取り組んできた当事者研究は、セイックラ博士のオープンダイアローグとともに、今、世界の最先端であると思います。ここに私たちが幸せに生きるヒントがある。そう思いながら学びと自分自身の当事者研究を続けています。
 
そしてもう一つ。最近一番ホットな出会いが「能」
森田さんのご紹介で、能楽師の宮内美樹さんの存在を知って、にわかに能の世界にぐっと近づきました。
宮内さんは、こちら↓の記事を読んでいただくとすごくわかりやすいですが、能の世界ではいろんな意味で異色の方です。ひたすらかっこいい。

 
10月15日に宮内さん出演の公演があり、そこに向けて、とってもありがたいことに、何度か事前対話会や勉強会の機会があります。
昨日今日は、宮内さんがシテ(主人公)として公演で舞われる演目「雷電」の事前講座で、宮内さんの解説を聴いてきました。

f:id:flowwind:20191004190941j:plain

謡本といわれる能の脚本を頭から丁寧に解説してくださいました!


私はまだ能を語れるほどのことばを持ち合わせていないのですが、今まではほんとに、無意味な能の見方をしてきてしまったなあととっても悔やまれるほど、この2日間はかゆいところに手の届くような説明と、本質を思い起こさせるような語りがあって、すっかり感動をしてしまいました。

ここにいたるまでも、いろいろインプットはしてみたのですが、そんな素人なりのお勉強の何万倍も濃い時間でした。
なので今からもうほんとうに公演が本当に楽しみです!

チケット、たぶんもうほとんど売り切れてしまっていると思いますが、念のため公演案内を載せておきます。


www.shuuseikai.jp


公演後にあらためてまた、「能」の深みを、初心者が戸口から覗く程度であっても、書きたいと思います。

で、今回は、そんな初心者の、今日にいたるまでの涙ぐましいトライの軌跡を、記念に残しておきます。


いつもながら、ここからは笑うところです(笑)
 
スタートは、能がテーマの漫画「花花」。まずは漫画(もしくは映画)から入るのが私のいつものパターンです。

f:id:flowwind:20191004191038j:plain

成田美名子さんは『CIPHER(サイファ)』が大好きでしたが、これも能への愛があふれていて、おもしろかった!



 
その後、漫画に出てきた演目をいくつもyoutubeで検索して、実際はこんな感じなのかーと鑑賞。短縮バージョンですが結構上がっています。漫画の中の演目を動画で見るっていうのは、とてもおもしろいです。
 
 
続いて、表参道にある銕仙会での能楽体験に行ってきました。

f:id:flowwind:20191004191159j:plain

表参道のプラダカルティエの前という、ものすごい場所にあります

f:id:flowwind:20191004191301j:plain

光りが差し込んで、独特の空気感でした。

 

かまえや謡などを教えていただいたり、「羽衣」という演目の衣装を代表の人(アルゼンチンから来ていたかわいい学生さん!)が着付けてもらったりと、短い時間ながらもとても充実した内容でしたが、とくによかったのは、実際に面をつけて舞台を歩かせてもらったこと
 
こんなにも見えなくて、こんなにも息が苦しいなかでシテ(主人公)の人たちはあのハードな舞や謡をしているのか!と驚愕でした。


そしてここからやっと各種の本へ。最初に本を読んでも頭に入ってこないと思ったので。

f:id:flowwind:20191004191439j:plain

この他に同じくらいKindle本も。全部読んでいるかって?そんなわけない。並べて満足するタイプです笑


Kindle本では、まんがの『源氏物語』『平家物語』や『伊勢物語』など、能によく取り上げられている古典の物語を。あとは100分de名著の『平家物語』、『風姿花伝』は番組を観て、テキストを読みました。

安田登さんの『能』という新書が能の歴史を概観していたり、世阿弥の有名な言葉についての深い解釈などがあって、入門書としては一番よいかなと思いました。

能  650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

能 650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

 

 

個人的に、関連本の中で特におもしろかったのは、能の演目で一番多くの出典となっている平家物語の解説をした本。

新書で名著をモノにする 平家物語 (光文社新書)

新書で名著をモノにする 平家物語 (光文社新書)

 
平家物語は「祇園精舎の鐘の声~」という出だしはみなさん知っていると思いますが、そのあとっていうか、本体がどんなお話なのかって、あんまり知らないですよね? 
っていうか、受験の弊害で、古典って出だししか知らないですよね?
あれ、私だけか?(笑)

簡単にいうと「権力争い」の物語なのですが、ものすごく今の社会で起こっていることともリンクして(っていうかまんまじゃん!みたいな)、おもしろかったです。1000年たっても人はそんなに変わらないのかーと。だからこそ今読むべき物語であるとも思います。


で、今は宮内さんが解説を書かれた小説を読んでいるところです。
 
能楽師の娘 (角川文庫)

能楽師の娘 (角川文庫)

 

 


あとは、NHKはとってもありがたいことに月に一回、「古典芸能への招待」を放送してくれますので、それを録画して、じっくり鑑賞。能と狂言の違いもまた、興味深いです。

www4.nhk.or.jp


www4.nhk.or.jp



ふ~っ。
これが大体7~9月の、三か月間くらいのインプットの話。
たぶん、ここまで読んでくれた奇特な方は、息切れしてるはず(笑)
私もあらためて息切れしそうです。


10月、11月は芸術の秋ということで、能の舞台をいくつかと歌舞伎を観に行くことになっています。

こんな方面の学びの旅が始まるとは知らず、年初に日本文学(史)や日本の歴史を学んでた私ってえらいとちょっと思いながら、この秋、日本人の中に受け継がれてきた美学や魂をじっくり堪能して、生き方にフィードバックしていきたいと思います。そして、一息ついたら、ぜひ能のお稽古に通いたいと思っています。

能の世界は、言ってみれば「あの世とこの世のキワを旅する世界」。
そこには日本の文化や、神道や仏教の影響が練り込まれています。
能の舞台を堪能するだけでなく、能にまつわる歴史を学ぶこともまた、広く深く豊かな世界への旅となります。

ということで、秋の実りを経たころにまた「能」について感じたこと学んだことなどを書ければと思っています。