組織変革の燃料として―『全員経営』
野中先生と勝見氏のこれまでの書籍と同様事例も豊富で、読み応え十分でした。
ケースには、JALの経営再建、ヤマト運輸のまごころ宅急便、セブン&アイ・ホールディングスのセブンプレミアム、小惑星探査機のはやぶさ、釜石の津波防災教育、テラモーターズの電動バイク、良品計画のMUJIGURAM、ダイハツのミライース、その他中小企業の事例として、伊那食品工業、メガネ21、未来工業、三鷹光器、植松電機が紹介されています。
個人的にはヤマト運輸のまごころ宅急便が生まれた背景に心がぐっときました。
こういった本を「型」として取り入れ、企業を変えていこうとできる企業は、全員経営ができる体質を持っていると言えるのではないでしょうか。そういう企業にこういった本を持ち込むと、変革をさらに進める燃料のようになるのではないかと思います。
そうでない企業にこの「型」を持ち込むときっと、枝葉末節の揚げ足取りが始まってしまうかもしれません。
だけど、その背景には、一人ひとりのコンテキストがある。その一人ひとりのコンテキストが閉じている限りは、組織という文脈における「当事者意識」は育たない。
対話や場を通して、いかに一人ひとりのコンテキストと組織のコンテキストをつなげて流れをつくっていくか。
そこがリーダーシップやファシリテーションが求められるところであり、ストーリーと対話を通して共有していくことが必要な部分なのだと思います。
何度もおいしく味わえそうな本。
たくさん反芻しよう。