日々是流流

“細工は流流仕上げを御覧じろ”~より善く生きるためのその時々の記録です。

陥りやすい「わかる~」の罠

引き続き、聴くことについて。

このテーマ、相当書きたいことがたまっているのですが、ぜんぜん整理しきれてないので、ぽつぽつとアップしていければと思います。
あ、私は全部できているというわけでなく、ひとまず、自分のことを棚にあげて書きます(^^;

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●陥りやすい「わかる~」の罠

たとえば、AさんとBさんの友人同士が会話をしているとします。

Aさん:「この前さ、仕事で後輩が書類を間違えてたから、教えてあげたら、『ああ、そっか』って言われたの。そっか、って。それだけだよ!」

Bさん:「わかる~。最近の子ってさ、なんか周り見えてないよね。うちの会社でもさ、後輩にそういう子いる」

Aさん:「でね、こっちもさ、注意して機嫌悪くなったらいやだなと思って、結構気を使って言うようにしてるのよ、いつも。うるさいオバさんだなーとか思われたくないし」

Bさん:「そうそう。うちの後輩もなんかすぐふてくされるんだよね。子どもかっつーの」

Aさん:「ねー、子どもっぽいんだよね」

Bさん:「だからその子、陰で”バルーン”ってあだ名で呼ばれてる。すぐふくれるから(笑)」

Aさん:「(笑)。でね、うちのその後輩なんだけど・・・」


「わかる~」とか「そうそう」とか、一見、BさんがAさんの言うことに共感(実際は同調)して聞いているように見えます。でもすぐにBさんが自分の文脈に持っていくので、Aさんが今度は逆に合わせに行っている。AさんはBさんに一回応答し、それからまた自分の文脈に戻る、というちょっと大回りをしています。

このAさんが話そうとしている状況や感じていることと、Bさんの発言に出てくる状況と感じていることは、もしかしたら「似ている」かもしれないけれど、決して「同じ」ではない。これ文字で読むと、そりゃそうでしょと思われるかもしれませんが、この程度のこと、よくやらかしてしまってないでしょうか?

 

Bさんは、Aさんの話を理解するのに、自分の持っている経験に照らして聞いているので、自分の中の類似の体験を思い出し、それを相手の前に出したくなってしまっているようです。

さらにまずいのは、「私もこういうことがあって、そのとき同じ気持ちになった」「それっていやだよね」みたいに、Bさんがさもわかったかのように思ってしまうこと。それが一番表れる言葉が「わかる~」という言葉です。

「わかる」と思った時点で、「わかっていない」ところが瞬時にこぼれ落ちる。置き去りになる。

Aさんが本当に言いたいことは、話し始めのAさんも実はわかっていないことが多い。だから、当然Bさんにはわからない。でもBさんから「わかる~」が出てしまうと、そのあとAさんが本当に話したいことを話すことも、BさんがAさんの本当の気持ちを聴いていくことも、難しい、時間がかかる道のりになってしまいます。

そこで聞き手のBさんに必要なのは、まずは「わかる~」をバシッと封印すること。
そして、自分の経験に照らしてきかない。
短い応答で、その先を待ってみる。

これ、簡単に書いてますが、実際やってみると難しいです。
※特に「自分の経験に照らさずにどうやって聴くのか?」という部分。これはたっぷり書きたいことがあるのでまた別途。

そんなとき、一番参考になる聴き方は「すべらない話」に出てくる芸人さんたちです。
決して話している人を追い越して、余計なことを言ったりしない。

「ほうほう。そやねんな~。そんでそんで」

そうすることで、話し手は自分の話を、自分の話したい方向に向かって、安心して展開していけるわけです。

 

じゃあ今回の例の場合はどうすればいいかっていうと、例えば、

Aさん:「この前さ、仕事で後輩が書類を間違えてたから、教えてあげたら、『ああ、そっか』って言われたの。そっか、って。それだけだよ」

Bさん:「それだけ?」

Aさん:「こっちもさ、注意して機嫌悪くなったらやだなと思って、結構気を使って言うようにしてるの。うるさいなーとか思われたくないし。こっちの気持ちも知らないでさー。普通すみませんとか言うだろうと思うんだけど…」

Bさん:「けど…?」

Aさん:「でも、よくよく考えてみると、後輩も可哀そうなんだよね…。まだ仕事に慣れてないのに、いっぺんにいろんな人から仕事頼まれて、少し混乱してるのかも」

Bさん:「混乱してる…」

Aさん:「うん、そう。たぶん、混乱してるんだと思う。うちの会社、仕事のふりかたが結構おおざっぱで、私も最初の頃よくパニクってたんだよね。そうだよね、そもそも仕事のふりかたが原因なのかもしれないな~。今のままだとみんな余計なストレスがどんどんたまっていくかも」

 

これはあくまでも架空の話なので簡単に展開していますが、AさんはBさんが聴いてくれたおかげで、後輩の応対のその奥にある背景にまで考えが至っています。こんな風に「邪魔をしない」で聴くというのは、一つ大切なことではないかと思います。

ポイントは単なる「あいづち」や「オウム返し」とは違うということ。
これもまた誤解を生みやすいので、また投稿をあらためて書きます。

 

 

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