死ぬより怖いことは何か?~『イノセント・デイズ』早見和真さん
いくつか読み終わった本について、読後感をブログに残しておこうと思いつつ、衝撃が大きかった最近の本から。
いろいろなところでおすすめされていたので、購入していたものの、文庫本の"装丁"から受けるイメージがイマイチで(逆にギャップがあっていいのかもしれないが)、実話をベースにしたフィクションで、犯罪に手を染めざるを得なくなった人間の心理を丁寧に描いている作品なのかな、と思っていました。
帯に
読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました・・・
少女はなぜ、死刑囚になったのか
極限の孤独に、心が激震する
って書いてあったし。
だけど、読み進めていって、私にとってはよい意味で裏切られました。
最後の最後、死刑囚となった幸乃の
"自分を必要としてくれる人を失うことが、死ぬより怖いこと"
という叫びを聞いて、ああ、そういうことか、とタイトルの意味ともあいまって、すとんと落ちました。
この幸乃の気持ちは、かなり共感できる。
決定的な喪失をしてしまうと、喪失しないためにならなんでもするという方向に向かってしまうのですよね。
ただ、読んだ直後よりも、時間が経つほどにその感覚がじわじわ増してきて、車で修理からあがったノートPCを取りに行った帰り道、涙がとまらなくなって、泣きながら運転して帰ってきました。
形は違えど、自分も喪失が怖くて怖くて、喪失しないために、相当不器用に生きてきたなと。今、人並みに日常生活を送れているのは、子どもたちがいたことが大きいかもしれません。
この本が存在することで、救われる人がたくさんいるだろうなと思ったし、そしてきっと、著者の早見和真さんは、他の作品を読んだことはないですが、きっとどうしてもこの作品を生み出さなくてはいけなかったのだろうなと思います。
1回めは、話の筋を追うだけの読み方をしてしまいましたが、もう少しじっくり登場人物たちの気持ちを感じながら、あらためて読み返してみたいと思いました。
他の人がどう読んでいるのかなと、検索してみると、この作品がWOWOWでちょうどドラマ化されていました。主演の妻夫木聡くんが、どうしてもドラマ化したいと熱望して実現したのだそうです。さすが妻夫木くん。